ひよこブログ

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新築戸建て設計時のネットワーク設備について

はじめに

2020年7月に契約し、夢のマイホームの設計が始まりました。

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筆者は子供の頃から自宅サーバーが大好きでしたが、自宅内のネットワーク配線がとても見栄えが悪く強い不満を抱いておりました。当時、1階に光回線を引き込んだため、2階の自室まで有線ネットワークを敷設するために、階段や壁にLANケーブルを這わせたりと、とても大変だった記憶があります。

今回、マイホームを建てる機会に恵まれたため、子供の頃から抱いていた住宅ネットワーク設備の不満を解消した、自分にとって理想のお家を建てました。

同じ悩みを持つ人に参考になると良いなと思い、備忘録として記録したいと思います。

筆者は素人のため嘘を書いてある可能性もあります。あらかじめご了承ください。

新築住宅 ネットワーク構築に向けた要件

ざっくりですが、設計前に下記のような要件を整理しました。

  • 住宅設備として導入する部材は市販品を採用すること
  • 各フロアの天井に無線APを取り付けること
  • 外壁に防犯カメラを取り付けること
  • ネットワーク機器設置スペースを設けること
  • 設置スペース向けに光回線を引き込める配管を設けること
  • 設置スペースから各部屋へ配管(有線LAN)を通すこと
  • 設置スペースから各フロアの天井へ配管(有線LAN)を通すこと
  • 設置スペースから外壁へ配管(有線LAN)を通すこと
  • 電源はアース付きコンセントを設けること
  • 配管(PF管)は拡張性を考慮し太め(22mm)の配管を採用すること

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部材選定

住宅向けネットワークは情報分電盤を取り付け、各部屋へスター型に配管を通し情報コンセントに結線するのが一般的のようです。

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www2.panasonic.biz情報分電盤は小型のルーターやスイッチを収納することを想定されています。
筆者は、19インチサイズのネットワーク機器を利用予定だったため情報分電盤は利用せず、情報コンセントを多めに取り付けることにしました。
情報コンセントは、部材の入手のしやすさや、メンテナンスの難易度からパナソニック製を採用しました。

www2.panasonic.biz

 

発注したもの

●PF管(16mm/22mm)

隠ぺい配管は自己消火性のあるPF管を利用すると安心・安全とアドバイスをいただいたため、PF管にしました。

www2.panasonic.biz

●情報コンセント関連

スイッチやコンセントはアドバンスシリーズで統一しました。
CAT6A対応の情報モジュラジャックは
 コスモシリーズワイド21
 フルカラーシリーズ の物しかありませんでしたがアドバンスシリーズのプレートと互換性があり問題なく利用できました。

www2.panasonic.biz

www2.panasonic.biz

○日本製線(株)製CAT6A対応UTPケーブル

パナソニックは日本製線のUTPケーブルを推奨しているようです。

nscable.co.jp


PF管は外径が大きく、全て22mmにできない場合があります。
筆者宅は一部配管が多く集まる場所があり、全て22mmにすることができませんでした。そのため16mmで配管している場所があります。

CAT6A対応のUTPケーブルを選定しておりますが、CAT7A以上のLANケーブルは誤表記のためCAT6Aを採用しました。

参考:LAN配線の疑問にお答えします LAN配線技術セミナー2017
情報配線システム標準化専門委員会
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20171114151545_u7hofFT0L4.pdf

設計

間取りと部材が決まったら、いよいよ設計です。
各部屋のどのあたりに配管を通したいか、外壁のどのあたりに配管を通したいか担当者へ伝え電気図に反映してもらいます。

無線AP取付場所

無線APは正直何もわからない素人です。
いちから独学で勉強し、測定器もないためざっくり設置場所を決めました。
無線APはメーカーや機種ごとに電波の届く範囲(カバレッジ)が異なります。
メーカーが公開しているマニュアルを確認し、設置予定場所に適した機種か確認しました。

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documentation.meraki.com

 

次に受信感度と通信速度の確認をしました。
IEEE 802.11ac(Wi-Fi5)の5Ghz帯の場合、
各通信速度 MCS0~MCS9に紐づく受信感度が -87dBm~-63dBmと記載されています。
高速通信を実現するためには、利用想定場所の受信感度がなるべく-63dBm付近であると良いことが分かります。f:id:Hikari1019:20210902223416p:plain

IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)の5Ghz帯になると、
各通信速度 MCS0~MCS11に紐づく受信感度が -87dBm~-59dBmと記載されています。
高速通信を実現するためには、利用想定場所の受信感度がなるべく-59dBm付近であると良いことが分かります。

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documentation.meraki.com

受信感度が重要なことを意識した上で設置場所を検討する必要があるのですが、一番確実な方法は、現場で計測してみることです。
しかし、筆者は現場で受信感度を測定するタイミングを調整する事が難しかったため、事前に引っ越し前の住宅でスマートフォンWi-Fiアナライザーアプリを使い、電波の受信感度をざっくり測定し設置場所を検討しました。
筆者宅は大きな物件ではないため、各フロアの天井の真ん中に設置すれば全体に電波が行き渡ると判断しました。電気図に反映し、下地を入れるよう依頼しました。
ホームシアター用のスピーカーも天井に配管しているため、スピーカー下地という名称になっています。

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防犯カメラ取付場所

防犯カメラの設置場所は、手の届くところに設置してしまうと悪意を持った人にイタズラされる可能性があるため、2.5メートルから3メートルに設置するのが一般的のようです。(大体1階と2階の間あたり)
なるべく死角ができないように複数の防犯カメラを設置すると良いです。

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ネットワーク機器設置場所

ONUルーター、スイッチ、サーバー等の設置場所を決めます。
筆者は書斎に小型ラック設置スペースを設け配線は全てここへ集約することにしました。

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各部屋、各フロアの天井、外壁から沢山の配管が集まることから、電気図だけでは表すことが難しく、別途自分で完成イメージを作成し担当者へ依頼しました。

完成した電気図抜粋(図面上に表しきれない)

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施工イメージ

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工事

設計が決まったら業者と協力し作業を進めていきます。
筆者は定期的に現場へ伺い、細かい調整や、仕上がりをチェックしました。
壁や天井を塞ぐ前に誤りを見つければ修正もしやすいため、定期的にチェックすると良いです。

無線AP取付

電気図だけでは詳細な位置が分からないため、現場で配管の通し場所や、下地の設置場所など認識合わせをしました。マウントアダプターと同一サイズの目印を作成し貼り付けると間違いがなく確実です。

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引き渡し後、書斎から同一フロア無線APの受信感度を測定したところ、-50dBmで受信できており高速な通信が実現できていました。また、フロアを移動した際は移動先フロアの無線APにローミングされ、家中どこでも高速かつ快適に無線通信が利用できています。

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防犯カメラ取付

防犯カメラは持ち込みで、取り付けのみしてもらいました。
事前に外壁に配管を通しているため、見栄えがよくとても満足しています。

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ネットワーク機器設置場所

情報コンセントも自分のイメージ通りに仕上がって良かったです。
配管には、後で自分でメンテナンスすることも考慮し、呼び線も入れてもらいました。
将来的に光ファイバーを宅内配線し、NASとPCを40Gbit化することを検討しています。

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最後に

最後まで読んでいただきありがとうございます。
独学で勉強しながら新築マイホームのネットワーク設計・構築をしてみましたが、とても楽しかったです。
プロジェクトマネージャーというほどでもありませんが、丸投げはせずに設計や建築の進捗や状況を把握しコントロールすることが重要なことだと思いました。

 

以上